2025年における新築住宅の課題
- 勇祐 窪
- 3 日前
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更新日:3 日前
新築が売れない、住宅着工数が減っていると言われてますが、新築だから売れてないのではなく高いから売れていないのです。
理由として買主側、建てる側に多くの課題があるからです。 この課題を解決するのが数年前から窪商事で実際に販売している「売り建て住宅」という販売方法です。
まずは両者の課題から説明します。
買主側の課題
・物価高騰、人件費高騰により注文住宅になると1棟あたり2,000万円以上かかる。
・30坪の家の平均価格は1坪あたり60万~80万円(1,800万~2,100万)まで上がっており、大手ハウスメーカーになると坪100万円以上になる。
・消費税も10%加味しないといけない。含まれている場合もある。
・外構工事に掛かる費用も高騰しており100万以上かかるケースもある。
・地盤改良に掛かる費用は実際に調査しないとどんな場所でも分からなく、50万~100万がプラスになるケースもあるので最初の資金計画で最低50万は見込んでおかないといけない。
・平屋以外は建築確認申請時に構造計算書が必要になったのでどこで頼むかによりますが30万ほどプラスになっている。
・注文住宅の場合、設計料が30万~100万掛かるケースもある。
・2025年4月からの法改正で最低限クリアしないといけない断熱基準が引き上げられたので断熱材の厚さが増し、そのせいで建築費用があがっている。
・マイナス金利解除、政策金利解除により昨年のネット銀行の金利は0.3~0.4%台だったのが2025年8月現在は0.7~0.9%台となり、今後も引き上げられる風潮となっている。
・鹿児島銀行、宮崎銀行も昨年の0.95%から1.1%に引き上げられました。
・鹿児島の平均年収は総支給額で350万~450万であり月に換算すると約33万。 ローンの返済額を30%以内だとすると33万円×30%で約10万円。
25%以内だと約8万円です。
4,000万以上の借り入れとなると毎月約11万円の返済となり、住宅ローンが通る見込みは低くなりますし、無理をしての返済となります。
鹿児島で理想の家の価格帯は経費まで含めて3,000万でローンは毎月約8万円。
できれば7万円台が理想で、多く見ても3,500万の毎期返済約10万円です。
・50年ローンも出てきてはいるが大手企業の倒産も相次ぐ事と、10年以上続く会社が企業全体の30%しかなく、70%は倒産すると考えるとそもそもがギリギリの返済額にしていると老後に返済できるか先行きが不安になる。
・ただし50年ローンに限らず長期の住宅ローンのほうが良いと僕は考えてます。 理由は住宅ローンは相続しないので完済する必要が無い。
そして団信、三大疾病により返済する義務がなくなるうえに家は残り住み続ける事も売却する事もできるからです。
これを自分に何かあった時に家族に残していける保険と考えると賃貸にはない大きなメリットです。
・なお老後や定年後は今の収入を維持できないので、老後でも払える3万~4万円の返済額になるように繰り上げ返済の計画もしておくのが大事です。
完済する必要はありません。
高金利ですし、長い年数の運用をする事で今の資金を2倍くらいには増やせるように今のうちから計画しておけば繰り上げ返済の原資となります。
お金の勉強はとても大事なので知り合いに相談してみてください。
・リフォーム、リノベーションに比べると新築住宅は高価格になるので、今まで新築を買う層だったターゲットが物価高により中古住宅を選択している。
・ただし中古は買った時点で10年~30年以上の築年数が経っているので子育てが終わった20年後に売るとしても土地の値段でしか売れない。
新築の場合は20年後に売ってもまだ築20年なので、土地代に建物代を加味して販売できるメリットがある。
・多くの人が住みたがる駅が近い、学校が近いなど好立地の土地は人気があり、10年前に比べ土地の値段が上がっている。
僕の地元の下荒田は1坪あたり50万~60万円だったのが、今は50万円台の土地はなく60万~80万になっており、100万の土地もあります。
・みなさん土地探しに何カ月も掛けます。僕も1年掛かりました。
やっと理想の土地が見つかっても、土地の形や方角、崖規制など様々あるのでその土地に希望の家が建築基準法をクリアして建つのか、その家、外構工事に掛かる費用がいくらなのか検討、見積もりをしてる間に人気の土地は売れてしまっているケースが多いのが実情です。
建てる側(建て売り業者)の課題
・まずは建築費、人件費の高騰が一番の課題でお客様に提示する金額を上げざるを得ない状況が続いており、買いたい方は多いのに契約まで結び付けるのが難しくなっています。
・2200万~3,000万ほどの安価な建て売りは売れているが、3,500万~4,000万以上の高価格になっている建売住宅が売れ残っている。
・土地を安く買う事が建て売りの利益に繋がりますが、県外からの建売り業者の参入、不動産会社の多くが建て売り、中古住宅の買取り再販をしてるのもあり、競争相手が多いので土地を安く買う事自体が難しいです。
一方で土地や建物の仕入れをし仲介以外の利益を作り続けないと経営を維持できない実情もあります。
・そもそも論で注文住宅を作るお客様は費用は掛かってもいいからこだわりの家を作りたい方であり、建て売りを買うお客様はできるだけ安価に買いたいから建て売りを買うのであり、金額によほどの差がないのであれば建て売りより注文住宅を買う。
・高性能で安価な建て売り住宅は売れますが、高性能になるともちろん建築費用は高くなるので高性能で高価な建て売り住宅が売れ残っています。
建て売りを買うターゲットの年収と、土地の相場から逆算して販売価格を決めるのが安全策だと考えます。
・売れていない訳ではないが鹿児島の平均年収では今の価格帯が見合っていなく、物価高の影響で買える層が少なくなってきている。
・建て売りが数棟も売れ残ると次の仕入れが出来なくなり、職人を手放さない為にも値下げをして利益無し又は赤字でも処分しないといけなくなる。
・売れるまでの間、広告費用を掛け続けないといけない。
・これなら売れるだろうという無難なデザインで建てた結果、お客様のニーズに合わず売れないケースもある。
・土地を取得し、建物の工事代金も借り入れた場合、完成してから売れるまでに2000万~3000万に対する利息も発生する。
1棟だけならわずかですが年間で10棟以上も作る会社にとっては大きな金額です。
・土地を仕入れる時に掛かる登録免許税と借入した場合は抵当権設定費用が掛かる。
取得税は建物が売れてから還付請求できるが半年、一年後になる。
課題を解決する「売り建て住宅」
お客様のメリット
・注文住宅ではないが建物の外壁、内装をセミオーダーで選べるので自分好みの家を作れる。
・建物の面積、寸法、採光条件が変わらないような軽微な変更なら無償で可能。
・検討する段階で経費まで含めての総額が分かっているので返済計画を立てやすい。
・地盤改良費用は売主負担なので追加費用が掛かることがなく安心して購入できる。
・省令準耐火構造で建築した場合ですが火災保険料は5年で約15万(年間3万)なので、中古住宅や通常の木造新築住宅の30万~50万以上に比べ安い。
・不動産取得税は還付請求する事で0円になる。
・住宅ローン控除対象の物件を取得できる。希望する仕様に変更も可能。
・すでに確認申請の許可までおりているので設計料は不要。
・販売元である不動産会社が掛ける住宅瑕疵担保責任が2年ついている。
・建物の保証は10年が基本的についている。
お客様のデメリット
・間取り以外は一から自分たちで選ばないといけないので面倒な事が嫌いな人には向いていない。
・打ち合わせ、銀行の手続きまで入れると完成までだいたい6カ月~8か月掛かる。
・間取りが気に入らない場合、確認申請の取り直しが必要なので20万~30万の費用と2ヶ月ほどの申請期間が必要になる。
建てる側のメリット
・土地を取得しないで三為契約での販売も可能なので登録免許税、不動産取得税を無くす事もできる。
・売れてから建てるので利息を最小限に抑える事ができる。
・販売してみて売れない場合は価格を変える、間取りを変える、確認申請を取り直して一から変える柔軟性がある。
・家のデザイン、機能性で集客していたターゲットではなく、価格とセミオーダーという付加価値で売る事ができるのでエリアを超えてターゲットが広がる。
エリアで絞っていた顧客にもセミオーダー住宅のメリットを提案できる。
・セミオーダーを付加価値とする事で建て売りと注文住宅の両方の層をターゲットにできる。
・地盤改良費用はいくらかかるか不明なのでおおよそ50万~70万を見込んでおき、その価格分、土地の買取金額を下げる理由にもでき、地盤が弱かったとしてもマイナスにはならない。
デメリット
・確認申請が降りてからでないと販売できないので時間が掛かる。
・土地所有者との関係性。売れるまでの間待ってもらえるようなプレゼンができるかで販売前に土地を買い取るかどうかが分かれる。
当然だが買ってしまうと売り切らないといけない。
それよりは最悪、申請費用は勉強代とし、条件無しの土地だけの販売に切り替えたほうが柔軟性がある。
・実際に建物はないのでモデルハウスもしくは過去の実績を見せる事でお客様に安心と納得感を与えないと契約には結びつかない。
実例紹介
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